ARTICLE / SIITA NODE
音楽知識ゼロのエンジニアが、AIで300曲以上の歌やBGMを作るまで
曲を作りたい。でも、楽器も音楽理論も分からない。言葉から曲を作り始め、複数の結果を比べ、公開できる状態へ整えるまでの体験記です。

曲を作りたい。でも、楽器も音楽理論も分からない。そんな状態からAI作曲サービスを使い始め、最初の驚きと、言葉から一曲を作るまでを振り返ります。
文章を入れるだけで、本当に曲になるのか
僕は、以前から自分で音楽を作ってみたいと思っていました。
ただ、作曲の経験はありません。楽器が弾けるわけでもないし、音楽理論を学んだこともない。作曲ソフトの使い方も分かりません。
もちろん、今から勉強する方法もあります。それ自体は素晴らしいことだと思います。でも、音楽理論や作曲技術を一から身につけるには、かなりの時間がかかるはずです。
それだけ勉強しても、すでに長い時間をかけて音楽を学んできた人や、本当に才能のある人たちと同じ場所で勝負するのは難しいだろうな、とも思っていました。
だから、別の方法を考えました。
僕は音楽家ではありませんが、エンジニアです。だったら、音楽の技術が足りない部分を、別の技術で補えないだろうか。そこで思いついたのがAIでした。
技能を身につけてから始める
- 楽器
- 音楽理論
- DAW
- 録音
- 歌唱
分からない部分を技術で補う
- ChatGPTへ相談
- Sunoを開く
- 用途を言葉にする
- 生成して聴く
エンジニアなら、技術を使えばいい
最初にしたのは、ChatGPTへの相談です。
「作曲の知識がないのですが、AIを使って曲を作る方法はありませんか」
そんな内容を聞いたのが始まりでした。そこで複数のAI作曲サービスを教えてもらい、その中でSunoを知りました。無料版で一度試したあと、本格的に使うためにProプランへ切り替えました。
ただ、Sunoのサイトを開いて、すぐに曲を作れたわけではありません。画面に表示されている項目は英語です。
何が書かれているのか分からない。どこに歌詞を入れるのかも、どこに作りたい曲の雰囲気を書くのかも分からない。
「はい、もう使えますよ」と画面を渡されたけど、僕は何をしたらいいの?
そこで、Sunoの画面をスクリーンショットに撮り、ChatGPTへ渡しました。
「この画面の、どこに何を入力したら曲ができるんですか?」
最初は、そんなところから一つずつ聞いて進めました。
実際に試してみると、画面自体は英語でも、日本語の歌詞や日本語の指示を扱えました。項目名の意味は分かりにくい。でも、中身は日本語でも通じる。そのことが分かって、ようやく自分でも試せそうだと思えました。
最初に紹介する曲は、配信開始前の待機曲
Proプランへ切り替えた後に作った曲として今回紹介するのが、TikTok LIVEの開始前に流す配信待機曲「ただいま待機」です。
作りたかったのは、配信が始まる少し前、準備中の画面で流しておける歌でした。AIやIT、コードを扱う配信の雰囲気を入れつつ、派手すぎず、待っている時間に自然に流せる曲を目指しました。
Sunoでは、一度の作成依頼から2つのバージョンが生成されます。このときにできた2曲は、どちらも約1分33秒でした。
生成ボタンを押してから、体感では15秒ほど。約1分33秒の歌声付きの曲が、2バージョン同時に出てきました。
2バージョンを生成
どちらも約1分33秒の配信待機曲
ただいま待機
配信開始前の待機曲
約1分33秒ただいま待機
配信開始前の待機曲
約1分33秒再生して、最初に驚いたのは歌声です。
「言うてもAIやし、もっと機械っぽいんだろうな」
そう思っていたのに、流れてきたのは、本当に誰かが歌っているように感じる声でした。
音楽の専門的な良し悪しは、僕には分かりません。それでも、一般のリスナーとして聴いた瞬間、普通に、
「え、いい曲やん」
と思いました。
僕が頭の中で想像していた曲と、完全に一致していたわけではありません。それでも、中途半端な音の断片ではなく、一曲として始まり、展開し、終わっている。
曖昧な言葉から歌ができたこと。人間らしく感じる声だったこと。そして、体感15秒ほどで2曲が出てきたこと。その三つが、最初の大きな驚きでした。
曲は作れる。でも、何を入れればいいのか分からない
最初の配信待機曲ができたとき、僕は、
「これならいける。いい曲を自由に作れる」
と思いました。
音楽の知識がなくても、実際に歌声の入った曲ができた。だったら、配信の待機曲だけではなく、もっといろいろな曲を作れるのではないか。
自分の気持ちを歌にしたり、リスナーさんのイメージソングを作ったり、配信で流すBGMを用意したり。最初の一曲ができたことで、曲作りに対する期待は一気に広がりました。
ただ、2曲目からすぐに、別の問題へぶつかりました。
Sunoの操作方法は、少しずつ分かってきました。でも、入力する場所が分かったところで、そこに何を書けばいいのか分からない。
画面上の手順
- Lyricsに歌詞を入れる
- Styleに曲調を書く
- 生成ボタンを押す
中身の判断
- 何を歌うのか
- テンポをどうするのか
- 何を入れないのか
- どの結果を選ぶのか
曲を決める二つの入力
歌詞付きの曲を作る場合、特に大きいのがLyricsとStyleです。
Lyricsには、実際に歌わせたい歌詞を入れます。Styleには、どのようなサウンドにしたいかを書きます。
たとえば、男性ボーカルか女性ボーカルか。明るい曲か暗い曲か。テンポは速いかゆっくりか。どのような楽器を使うか。強いサビにするか、落ち着いたBGMにするか。
入力欄の役割だけを見れば単純に思えます。歌詞を書いて、曲調を書けばいい。
でも、僕には、その両方を決める知識がありませんでした。自分で歌詞をゼロから書くセンスもない。BPMをいくつにすればよいのかも分からない。楽器にも詳しくありません。
逆に、「アニメのオープニングっぽくしない」「アイドル曲のようにはしない」「盛り上がりすぎない」といった、避けたい方向の指定も必要になります。
設定する場所はある。設定する方法も分かってきた。でも、設定する内容を考えるセンスが、自分にあるわけではありませんでした。
- 01 / LYRICS歌詞
何を歌わせるか。内容、構成、繰り返す言葉。
- 02 / STYLE曲調
どんな音にするか。テンポ、楽器、歌い方。
- 03 / OPTIONS追加設定
声の方向、Weirdness、Style Influence。
じゃあ、そこもChatGPTに考えてもらおう
僕が最初に用意するのは、完成した歌詞ではありません。
その日にあったことや、今の気持ちを、ほぼ話し言葉のままChatGPTへ伝えました。
- 01今日、一つの予定だったのに二つできた
- 02ChatGPTへそのまま話す
- 03歌詞案と曲調案へ整理する
- 04自分で方向を選び、追加する
- 05Sunoへ入力し、曲として聴く
AIへ全部を任せて、完成したものをそのまま使った、という感覚ではありません。自分ではゼロから歌詞にできないので、まず案を出してもらう。その中から方向を選ぶ。違うと思ったところは、聴いた感想として伝える。
僕がやっていたのは、作曲というより、自分の感情に近い候補を探して、選んで、方向を決めることだったのだと思います。
歌詞のないBGMも作れる
Instrumentalの設定を使うと、ボーカルのないBGMも生成できます。
配信用BGMでは、どの場面で使うか、長時間聴いても邪魔にならないか、繰り返して使えるか、配信の雰囲気に合うかを考える必要がありました。
一方、配信で本当は10分ほどの長いBGMが欲しいと思っても、結果は1分から3分程度になることが多く、指示どおりの長さにはなりませんでした。
そのため、長さを完全に制御するのではなく、短くても繰り返して流しやすい曲を作る方向へ考え方を変えました。
自由に作れる。でも、完全には制御できない
言葉から作れる
- 日本語の歌詞付き曲
- Instrumental BGM
- 声や雰囲気の指定
- 用途別の音楽
- 日常の感情から曲を作る
結果は聴くまで分からない
- 正確な曲の長さ
- 同じ曲の再現
- 一回で希望どおりにする
- 2バージョンの差
- 大量の候補からの選別
歌詞、Style、追加設定を同じにしても、毎回同じ曲が出るわけではありません。長さも違う。歌い方も違う。曲の展開も違う。
生成ボタンを押した時点で曲作りが終わるのではなく、そこから聴き比べて、使う曲を選ぶ必要があります。
条件を渡すと、曲の候補が出てくる。最後に使うものを決めるのは自分。
一つの予定が、二つできた。その気持ちが曲になった
「きょうは俺えらい」は、曲を作ろうと準備してから生まれた曲ではありません。
きっかけは、TikTok LIVEでファンクラブ用ステッカーを作っていた日の、ほんの小さな達成でした。
その日の目標は、配信中にステッカーを一つ完成させること。一つ作れれば今日の予定は達成。それで終わるつもりでした。
ところが、配信を続けているうちに、二つ目まで完成させることができました。
あれ、一つじゃなくて二つできた。今日、俺えらいね。
大きな仕事を成し遂げたわけではありません。ただ、自分で決めていた予定を少しだけ超えられた。その瞬間の気持ちを、そのまま曲にしてみようと思いました。
最初から歌詞を書こうとはしなかった
言葉の順番も、リズムも、韻も考えていません。その時に感じていたことを、思いつくままChatGPTへ書きました。
一つやるつもりが、二つできた
ひとつで帰らず / ふたつまでやった
やめるタイミングを超えた
やめるタイミング / こえてきた
褒められて伸びる
ほめろじゃなくて / まず俺がほめる
今読み返しても、最初の文章は歌詞ではありません。文章としてきれいに整理されているわけでもありません。でも、その時の僕の気持ちは入っています。
書いて、書いて、書いて、自分の気持ちを全部出す。整理するのは、そのあとChatGPTに任せればいい。
曲を作って聴くことが、次の指示になった
最初に出てきたのは、予定以上に頑張れた日の達成感を、そのまま前向きに歌う方向でした。
それをSunoへ入れて、実際に曲を作り、配信中に流しました。悪い曲ではありません。でも、聴いてみると、もう少し強い個性があってもよいと感じました。
そこで、「もっとバズりそうな、尖った曲にしたい」とChatGPTへ伝えました。
案ができたらSunoへ入れる。曲にして、配信中に流す。聴いてみて、次にどうしたいかを考える。その繰り返しでした。
- GENERATE 01素直な達成感の曲悪くない。でも、もっと尖らせたい。
- GENERATE 02「今日は俺、えらい」自己肯定感を、もっとぶち上げたい。
- GENERATE 03高速版「きょうは俺えらい」今日の気持ちが、その場で一曲になった。
僕には、Styleの文章を読んだだけで、どのような曲が完成するのかを正確に想像することはできません。
だから、文章を見ながら長く悩むより、まず曲を作りました。
曲を作る。聴く。感じたことを言葉にする。その感想から、次の曲を作る。
完成した曲を、その場で受け止めた
最終的にできた完成版は、約1分52秒でした。配信中に生まれた感情を、その場で曲にする。そして、「今日の気持ちを曲にしたら、こんな曲ができました」とリスナーに聴いてもらう。
それ自体が、この曲を作った目的でした。

きょうは俺えらい
配信中に生まれた感情から完成した曲
約1分52秒配信中では、「俺えらい」という言葉が歌になったことや、少し前まで話していた内容が歌詞へ変わったことは伝わったようでした。ただ、この曲を大々的に発表したわけではなく、制作過程で生まれた一曲です。
僕は、この曲のタイトルをSunoへ入力していませんでした。生成後に自動的に付いたタイトルが「きょうは俺えらい」でした。曲の内容をそのまま表した名前で、結果的には、この曲によく合っています。
うまく歌詞を書こうとしなくていい。まず、今の気持ちを出し切ればいい。
音楽の専門用語を知らなくても、「この曲を聴いて、自分はどう感じたか」なら答えることができます。
僕にとってのAI作曲は、最初から正しい答えを書く作業ではありませんでした。
気持ちを出す。曲にする。聴く。感じたことを、また言葉にする。その繰り返しによって、最初はただの「今日、俺えらい」という一言だった感情が、一曲になりました。
余ったクレジットから、360曲のBGMが生まれた
僕が大量のBGMを作ったのは、最初から大きな音楽ライブラリを作ろうと計画していたからではありません。
きっかけは、もっと現実的なものでした。Sunoで曲を作るためのクレジットがかなり残っていて、次のリセットまでに使わなければ、そのまま消えてしまう。それはもったいないと思いました。
最初から大量にBGMを作りたかったわけではない。余っていたクレジットを、無駄にしたくなかった。
歌詞付きの曲では、リセットまでに間に合わない
歌詞付きの曲を作るときは、自分の気持ちや出来事を考え、ChatGPTに歌詞と曲調を整理してもらい、Sunoで生成し、実際に聴きます。
聴いたあとには、「もっと尖らせたい」「もう少し明るくしたい」「高速な曲にしたい」と感想を伝え、もう一度作ることもあります。一曲を作る過程は面白い。でも、何百曲分も残ったクレジットを短時間で使う方法としては向いていませんでした。
そこで選んだのが、歌詞のないBGMです。
自分にも、誰かにも使えるものを作る
BGMなら、自分の配信で使えます。配信開始前の待機画面、雑談、作業、解説動画、ショート動画、ゲームやアプリの画面。歌詞がない分、歌付きの曲よりも幅広い場面へ合わせられます。
さらに、Webサイトで公開すれば、自分以外の配信者や動画制作者にも使ってもらえるかもしれません。
自分にも役に立つ。誰かにも役に立つ可能性がある。
でも、180種類の違いを自分では考えられない
大量に作ると決めても、どのようなBGMを180種類も用意すればよいのか、僕には分かりませんでした。
何となく欲しい雰囲気は想像できても、「この雰囲気は何というジャンルか」「どの楽器とテンポを組み合わせるか」を定義する知識がありません。そこで、クレジットが余っていること、配信や動画、自分の制作物で使いたいこと、将来は他の人にも公開したいことまでChatGPTへ伝えました。
最初に作ったのは60種類です。配信待機、雑談、作業、エンディング、ショート動画、解説、告知、考察、UI画面、ミニゲームなど、用途から分類してもらいました。
- FIRST BATCH1—60用途別の指示を作成
- NEXT61—120続きを追加
- FINAL121—180180種類へ到達
60種類を入力し終えると、「61曲目から続きを出してください」と依頼しました。その後も続きを作り、最終的に180種類のプロンプトへ到達しました。
180種類の指示から、360曲が生成された
Sunoでは、一度の作成依頼から2つのバージョンが生成されます。そのため、180種類のBGMを作成すると、結果は合計360曲になりました。
生成されたBGM
180種類の指示から、2バージョンずつ生成
最初から360曲を一曲ずつ考えたわけではありません。180種類の用途と方向を用意し、Sunoがそれぞれ2つの候補を出した。その結果として360曲になりました。
作るところまではできた。でも、整理は終わっていない
360曲は生成されていますが、この記事を書いている時点ではまだ公開していません。自分で何曲か聴いた範囲では、きちんとBGMとして成立している曲もあります。
一方で、数秒で終わる曲や、繰り返したときに切れ目が気になる曲も混ざっています。本当は10分ほどそのまま流せるBGMが欲しかったのですが、実際には1分から3分程度になることが多く、長さを思いどおりにはできませんでした。
現時点で使いやすいと思うのは、2分から3分ほどの長さがあり、繰り返したときに不自然さが少ない曲です。ただ、その条件に合う曲を360曲の中から選ぶ作業は、まだ残っています。
生成することと、使える状態に整理することは、別の作業だった。
大量に作れたことは成果です。同時に、次は3分ではなく、10分ほどそのまま流せるBGMを作ってみたいという課題も見えました。
同じ入力から、5秒の曲と二つの完成曲が生まれた
一度の生成から2つのバージョンが出てくることは、候補が増えるという意味では便利です。ただ、同じ入力なら、同じ程度の完成度の曲が2つ出るとは限りませんでした。
一方は約1分52秒。もう一方は約5秒
「きょうは俺えらい」を生成したとき、歌詞もStyleも設定も同じなのに、結果の長さが極端に分かれました。
一曲として最後まで完成
始まった直後に終了
きょうは俺えらい
一曲として最後まで成立
約1分52秒きょうは俺えらい
同じ入力から生まれ、約5秒で終了
約5秒最初に見たときの感想は、単純でした。
「え、何これ?」 「なぜ同じプロンプトから、この二つができるのか」
もし両方とも約5秒なら、入力を間違えたのだと思ったかもしれません。しかし、同じ入力から作られたもう一方は約1分52秒の曲として成立しています。それなら、入力そのものだけが原因とは考えにくい。
Suno内部で何かが起きたのか、利用者には見えない生成条件があるのか、設定を見落としているのか。画面を確認しても、二つのバージョンへ個別に指定する項目は見つからず、なぜ約5秒になったのかは今も分かりません。
短い方を修復しようとはせず、今回は使えない結果として残しました。ただし、5秒の音が必ず失敗になるわけではありません。クリック音や通知音なら5秒でも成立します。問題は、歌として作った目的を満たしていないことです。
今度は、どちらも成功しているのに違った
「ひとつでふたつ」では、二つのバージョンがどちらも約3分あり、それぞれ一曲として最後まで成立しました。
今回は成功と失敗の比較ではありません。どちらも成功しているのに、別の曲のように聞こえる比較でした。
違いは、最初の入りで分かった。

ひとつでふたつ
テンションが上がる。褒められているような感覚。
約3分08秒ひとつでふたつ
少ししっとりしている。エモく感じる。
約3分10秒音楽的に何が違うのかを、楽器名や理論で説明することはできません。それでも、一方は前へ進む力を感じ、もう一方は達成した気持ちを静かに味わうように聞こえました。
音楽知識がなくても、「こちらはテンションが上がる」「こちらはエモい」という感想は持てます。その感覚は、次の指示や、今聴きたい曲を選ぶ基準に使えます。
一つの気持ちに、二つの解釈が出てくる
「ひとつでふたつ」は、何かの作品や動画のために用途を決めて作った曲ではありません。配信中に、その日の出来事と気持ちを曲にしたものです。
自分が同じ気分のときに聴いたり、配信中に複数の歌付き楽曲を流す中の一曲にしたりするかもしれません。ただ、この曲だけに特別な役割を決めているわけではありません。
ある意味、日記の一ページに近い。
同じ日記の一ページでも、AIはテンションが上がる読み方と、エモい読み方を返してきました。
生成したあとに、人の仕事が残った
二つのバージョンが出てくると、優れた方を一つ選び、もう一方を捨てるものだと考えたくなります。
選ぶとは、片方を捨てることではない。
実際には、選ぶことは必ずしも片方を消すことではありません。作った目的によって、判断基準そのものが変わります。
- CHECK 01曲として成立しているか
極端に短い、途中で不自然に終わる、明確に破綻している結果を確認する。
- CHECK 02元の感情に近いか
日記として作った曲なら、自分が共感できる表現かを聴く。
- CHECK 03作った目的に合っているか
配信、動画、ゲームなど、使う場面を満たしているかを見る。
両方が条件を満たすなら、両方残してよい。
日記として作った曲なら、両方残してよい
その日の感情を曲として残した場合、最初に聴くのは、元になった気持ちをどちらが近く表現しているかです。
曲を作った当日は、テンションが上がるバージョンの方が自分に合うかもしれません。翌日には、少し落ち着いたバージョンの方が心に合うかもしれません。
今日はこちら。明日は、もう一つ。両方が条件を満たすなら、両方残してよい。
用途のために作った曲なら、目的で選ぶ
一方で、配信開始曲、動画、ゲーム、アプリなど、使う場所を決めて作る場合は、判断方法が変わります。
配信開始曲なら期待感があるか。動画なら映像のテンポに合うか。BGMなら長時間流しても邪魔にならず、繰り返しやすいか。
この場合は、自分の感情だけではなく、最初に決めた目的に合っている方を選びます。
生成された数と、公開する数は同じではない
180種類の指示から合計360曲のBGMが生成されても、360曲をそのまま公開できるわけではありません。
短すぎる曲を外す。不自然な曲を外す。用途に合うものを探す。同じ入力からできた二曲が両方使えるなら、両方残す。
大量生成のあとに必要なのは、優勝する一曲を決めることではなく、それぞれの曲がどの場面で使えるかを見つける作業でした。
音源として完成しても、公開できる状態ではなかった
最初に紹介した配信待機曲は、もともと配信開始前に音源として流すためだけに作りました。ジャケット画像やWebサイトへの掲載まで、最初から考えていたわけではありません。
この記事を作る中で、「最初に作った曲は何だったか」という話になり、その曲を実例として紹介することになりました。そこで、記事へ載せるために後からジャケットを用意しました。
- 01配信待機用の音源
- 02記事で紹介することになった
- 03ジャケットを後から用意
- 04Webで再生できる形へ
曲から自然に画像制作へ興味が広がったというより、公開するために必要なものを後から追加した、という順番です。
音源を作ることと、人に見せられる状態へ整えることは別だった。
Webサイトへ載せるなら、曲名、ジャケット、説明、再生方法、利用条件も必要になります。そして公開準備を進めると、権利についても考えなければなりませんでした。
公開するなら、作った過程も残しておきたい
AI作曲サービスを使い始めるとき、最初に確認したのは商用利用できるかどうかでした。
僕はProプランへ登録した時点で、当時の利用条件を確認し、商用利用できる認識で制作を始めました。
しかし、実際に曲を公開しようとすると、別の不安が出てきます。
商用利用が認められていることと、その曲が誰かの著作権を侵害していないことは、別ではないか。
意図していなくても、誰かの曲に似るかもしれない
僕は、特定のアーティストや既存曲を再現するような指示を入力していません。少なくとも、自分から誰かの作品をまねようとしたわけではないことは分かっています。
それでも、生成された曲が偶然、誰かの曲に似る可能性まで、自分では完全に否定できません。法的な問題だけでなく、SNSで「この曲は何かに似ていないか」「パクリではないか」と思われることも不安でした。
やっていないことを、どう証明するのか
既存曲を参考にしていないことや、世界中の曲と一致していないことを、個人が完全に証明するのは難しいと思います。
少し悪魔の証明に近いと思った。
それなら、証明できないことまで無理に証明するのではなく、自分が説明できる範囲は残しておこうと考えました。
自分が証明できる範囲は、記録として残そうと思った。
何を入力して作ったのかを記録する
- 01使用したサービス
- 02生成時のモデルバージョン
- 03入力した歌詞
- 04Styleへ入力した内容
- 05生成時の主な設定
- 06有料プランで作ったことの確認
- 07どの入力からどの音源が生まれたか
これらを残しても、著作権侵害が絶対にないと証明できるわけではありません。
ただ、「この曲を作るとき、僕はこの内容を入力しました」「誰かの曲を再現するような指示はしていません」という説明はできます。
180種類の指示から生成したBGMについても、元の入力と音源の関係をあとから確認できるようにしています。
生成しただけで、そのまま公開はしない
公開する音源は自分でも一度聴きます。知っている曲に極端に似ていると感じないか。不自然な部分がないか。作ろうとした用途に合っているか。
ただし、自分が知らない曲に似ている可能性までは確認できません。記録を残しても、自分で聴いても、完全に安全だと言い切ることはできません。
問題を指摘された場合に連絡を受けられる場所を用意し、内容を確認し、必要であれば公開を止める。公開後の対応も含めて考える必要があります。
AIが曲を作っても、公開の判断まではしてくれない
文章を入力すれば、曲は作れました。一度の生成から、二つのバージョンも出てきます。
しかし、AIはその曲を公開してよいかまでは決めてくれません。
- CHECK 01使える曲か
短すぎないか、不自然に終わっていないか、目的を満たしているか。
- CHECK 02何を残すか
自分の感情や、最初に決めた用途に合う候補を選ぶ。
- CHECK 03どう公開するか
見せ方、利用条件、制作記録、問題が起きた場合の対応を考える。
音楽を聴くだけだった僕が、自分の気持ちを曲として残し、配信で流し、Webサイトで公開する準備まで進めています。
変わったのは、曲の数だけではありません。
「自分には作れない」と思っていたものを、言葉から作り始められるようになったこと。それが、300曲以上を生成した先に残った、一番大きな変化でした。